子供の鍵の紛失を防ぐため、目立つように、そして愛着が湧くようにと、キーホルダーを付けてあげるのは、非常に良い工夫です。しかし、そのキーホルダーの選び方や使い方を一つ間違えると、紛失防止どころか、かえって子供を深刻な危険にさらしてしまう可能性があることを、ご存知でしょうか。その最大の落とし穴が、「個人情報の漏洩」です。良かれと思って、キーホルダーに付けてしまいがちなのが、「名前」です。ひらがなで可愛らしく名前が書かれた名札や、イニシャルのチャーム。これらは、万が一鍵を拾ってくれた人が、持ち主を探しやすくするため、という親心からくるものかもしれません。しかし、その鍵を拾うのが、必ずしも親切な人とは限りません。悪意のある人物がその鍵と名前を手に入れたらどうなるでしょうか。SNSなどを駆使して、その名前から子供の学校や、おおよその生活圏を特定することは、現代では決して難しいことではありません。そして、拾った鍵を使って、留守宅に侵入したり、下校中の子供に「〇〇ちゃんだよね?」と声をかけ、連れ去ろうとしたりする、最悪の事態も想定されます。同様に、住所や電話番号を直接書き込む行為は、もはや「いつでも犯罪に来てください」と、犯人に招待状を送っているようなものであり、論外です。また、学校で指定された名札などを、キーホルダー代わりにランドセルに付けている場合も注意が必要です。学校名が分かれば、集団下校の時間を狙われるなど、犯罪のリスクは格段に高まります。では、どうすれば良いのか。キーホルダーは、あくまで「目印」と「紛失時の気づきやすさ」のためと割り切り、個人情報に繋がるような文字やマークは、一切付けないことを徹底してください。もし、どうしても連絡先を示したいのであれば、親の携帯電話番号だけを、キーホルダーの裏側など、目立たない場所に小さく記載する程度に留めるべきでしょう。子供の安全を守るためには、便利なだけでなく、危険を遠ざけるという視点を持つことが、何よりも大切なのです。