窓を閉めようとして、サッシの鍵(クレセント錠)を回そうとしたら、異常に固くて動かない。あるいは、やっとのことで回したのに、きちんとロックがかからず、窓がガタガタする。こうしたサッシの鍵のトラブルは、多くの家庭で起こりがちな問題です。力任せに操作すると、レバーが折れたり、部品が破損したりする原因にもなりかねません。まずは落ち着いて、その原因を探り、適切な対処を行うことが重要です。サッシの鍵の不具合の原因は、大きく分けて三つ考えられます。第一に、「クレセント錠本体の経年劣化」です。長年の開け閉めによって、内部の部品が摩耗したり、バネが弱ったり、あるいはホコリやゴミが詰まったりして、動きが渋くなるのです。この場合は、内部を清掃し、潤滑剤を差すことで改善される可能性があります。ただし、潤滑剤は必ずシリコンスプレーなどの、ベタつかないタイプを使用してください。油性の潤滑剤は、かえってホコリを吸着させてしまいます。第二の原因は、「受け金具の位置のズレ」です。クレセント錠のフックが引っかかる、窓枠側の金具の位置が、経年変化などでわずかにズレてしまい、うまく噛み合わなくなっているケースです。この場合、受け金具を固定しているネジを少し緩め、上下左右に微調整して、最もスムーズにロックがかかる位置で締め直すことで解決します。そして第三に、最も根本的な原因となりうるのが、「サッシ(窓)自体の歪みや傾き」です。これは、家の建付けの変化や、サッシの戸車の摩耗によって、窓全体が少し沈み込んでいる状態です。この場合、クレセント錠と受け金具の高さが合わなくなってしまうため、鍵がかかりにくくなります。戸車の高さを調整するネジが付いているサッシであれば、ドライバーで戸車の高さを調整し、窓の傾きを修正することで、劇的に改善されることがあります。まずは、原因がどこにあるのかを冷静に見極め、簡単な調整から試してみること。それが、大きなトラブルと出費を防ぐための、賢明なアプローチです。
サッシの鍵が固い、閉まらない!その原因と対処法